「認知症の方と家族の会」広報誌6月号にご掲載いただきました
〜介護に希望とヒントを届ける、作業療法士の関わり〜
このたび、公益社団法人 認知症の人と家族の会 福岡県支部が発行する広報誌「たんぽぽ」に、講演内容のご紹介いただきました。
広報誌「たんぽぽ」は福岡県内の認知症支援を支える重要な情報源のひとつであり、多くのご家族や支援者の手元に届くものです。
今回、そのような貴重な媒体にご掲載いただいたこと、大変ありがたく、そして光栄に感じております。
掲載いただいたのは、以下の2つの内容です。
① 認知症介護における作業療法士の役割
暮らしを支える”できること”の発見
大切なのは、リハビリではなく「暮らし」
「作業療法士」と聞くと、まだまだ医療機関やリハビリの専門職というイメージが強いかもしれません。
しかし私たち作業療法士は、単に「動作を良くする」だけでなく、生活そのものを支える専門職です。
認知症の進行により「できなくなったこと」に目が向きがちですが、その一方で、「まだできること」「やればできそうなこと」を一緒に見つけていくことが、本人の尊厳を守り、介護するご家族の希望にもつながっていきます。
講演では、実際の支援事例やアプローチの工夫を交えながら、ご家族が「できる」を引き出すためのポイントをお伝えしました。
- 勇気のが湧く声かけで、本人が前向きに動くことが「できる」
- 手で「できる」愛情表現(ノンバーバルコミュニケーションについて)
- 脱完璧!60点でもOKの視点で「できる」を奪わない
- すぐに「できる」いつも使う道具の見直し
といった、家庭ならではの視点を交えて、参加者の皆様と共有する時間となりました。
② 認知症当事者と作業療法士の対談

もうひとつの掲載内容は、「認知症当事者」と作業療法士の対談です。
今回ご協力いただいた方は、認知症と診断された後も、自分の声を社会に届けたいという想いを持ち、日々地域の中で暮らしておられるTさんです。
Tさんと私はイベントで対談をしたことがきっかけとなり、年間3回程度のペースで福岡県内を飛び回り対談公演を行っております。
対談では、診断を受けたときの気持ちや、日常の中で感じること、不安や希望、そして「どう接してもらうと嬉しいか」といった“ご本人にしか語れない”リアルな言葉が詰まっています。
特に印象的だったのは、
「手をかけないで、目をかけて欲しい」
という言葉。
認知症という病名の陰に、「できること」が奪われてしまわないように。
私たち支援者やご家族がどんな関わりを持つかで、その人の毎日は大きく変わっていきます。
そんな気づきを、あらためて教えていただいた時間でした。
今後は、ご本人とお嫁さん、3人で話すイベントを計画しています。
ご関心がある方はぜひご連絡をお待ちしています。
「できる」を探し続ける
認知症のケアや支援は、とても繊細で、時には迷いや不安を感じることも少なくありません。
それでも、私たち作業療法士は、関わるすべての人の「できる」「やってみたい」に寄り添いながら、小さな希望の芽をともに見つけていきたいと思っています。
今回、地域に根ざした「認知症の人と家族の会 福岡県支部」さまが、こうして対話の場や広報活動を通じて支援の輪を広げておられることに、あらためて敬意を表します。
情報を届けるだけでなく、「安心して話せる場所」を作ることの大切さを、私たちも日々の支援に活かしてまいります。
最後になりますが、広報誌をご覧になった皆さまが、ほんの少しでも「ヒントがあった」「心が軽くなった」と感じていただけたなら、これ以上の喜びはありません。
これからも地域の皆さまと共に、認知症のある方とそのご家族の暮らしに寄り添っていけるよう、活動を続けてまいります。
掲載情報
公益社団法人 認知症の人と家族の会 福岡県支部 広報誌「たんぽぽ 2025.6」 第487号
2025年福岡県支部総会開催報告:
「認知症介護における作業療法士の役割」/「当事者と作業療法士の対談」
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