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認知症の「拒否(入浴・服薬・デイ・リハ)」はなぜ起きる?専門家が教える原因の分解

認知症の患者さんが介護や介助を拒否するのは、認知機能の低下や不安、環境の変化が主な原因です。
ここでは、拒否の理由を深く掘り下げ、ご家族や介護者が取るべき対応と工夫について事例を交えて解説します。


目次

認知症患者の拒否行動とは何か?

認知症は、記憶や判断力が低下する病気です。
進行の程度によっては、本人が介護の必要性を理解できないことが非常に多くあります。
ご本人は、認知症の影響で状況を正しく把握できないため、介助を「不必要」と感じているのです。
家族側は「必要なのに、なぜ嫌がる?」と悩みます。

ここがすれ違いの1つのポイントです。
拒否は、単なるわがままではなく、
周辺症状(BPSD)といい症状の一つとして述べられています。

あなた

えぇーっと
周辺症状(BPSD)って?

作業療法士 宮崎

認知症は、大きく分けて2つの症状があります。
①中核症状(脳が小さくなることで起こる症状)
 →忘れてしまう,日付がわからなくなる,言葉が出にくくなる など

②周辺症状(①が起こることで二次的に起こる症状)
 →拒否が強くなる,眠れなくなる,不安,怒りっぽくなる など


脳が小さくなり(①)、当たり前のことができなくなると
不安になって眠れなくなる(②)、
周囲にバカにされているのか?とイライラする(②)
当たり前のことを「手伝う」と言われ拒否する(②)

このような心理が起こり得る訳です。

今回のテーマである「拒否」は②に該当します。


拒否が見られる場面は、入浴、食事、トイレ、着替え、薬の服用、デイサービスを嫌がるケースが典型的です。
認知症の方にとっては、「嫌だ」という意思表示の結果であり、
介護者はこれを理解した上で、感情に寄り添う声かけが大切です。

頭で理解していても、なかなか難しいのも事実。
認知症の方の頭の中について、少し解説してみましょう。


拒否の主な原因を分析

1. 認知機能の低下による理解不足

作業療法士 宮崎

こんな会話がありませんか?

あなた 「〇〇を、ちゃんとしてよね!?
     できないんなら、手伝おうか?」

お母さん「大丈夫、大丈夫。後からするけん。」

あなた (・・・絶対せんやん!何回裏切られるんだろうか?嘘つかれてる?)


解説:
できないという事実と、自分のできるという感覚にズレが生じています。
このような時期は、足腰は元気なケースが多く、子どもの立場としては、
裏切られた?嘘をつかれている?と怒りを感じるケースも多いです。

認知機能が低下すると、自分の状態が正確に理解できなくなくなります。
例えば、ご飯を「食べ物」と認識できず食べない。逆に、食べ物ではないものを、食べ物と認識する。
ときに毒を疑う妄想が生じてご家族は辛い思いをすることも。
入浴の必要性を忘れて、何日にもお風呂に入らなかったり。
トイレ介助でも、「恥ずかしい」「なぜ手伝われるのか?」と混乱し拒否します。
記憶の低下で、自分でできること・できないことの乖離(かいり)が起こります。

2. 不安・恐怖心・感情的な要因

作業療法士 宮崎

介護現場でのあるある。

介護士さん 「お風呂入りましょうか?」

お父さん  「大丈夫、大丈夫。今日汗かいていないから。」

解説:
誰もが裸を他者に見せるのは嫌なもの。
それは認知症があっても同じです。
しっかりしている部分も残っているため、
「汗をかいていない」と
一見もっともらしい理由で断ろうとされることがあります。

他にも、
乳がんの既往があり、胸を見られるのが恥ずかしいなど
身体ビジュアルに対する抵抗感がある場合もあります。
子ども世代から見ると
年齢的に「気にしない」と思いがちですが、
何歳であっても、自然な心理であり、
認知症があってもそのように思えることは
心が元気な証拠でもあると考えます。

解決策:
そのような場合には、個浴があるデイサービスを選んだり、
お風呂の順番を最後にすると受け入れがしやすいです。

不安が強いと、介護者を「知らない人」と恐れることがあります。
羞恥心から風呂やシャワーを嫌がり、「自分でできる」と自尊心が邪魔します。
感情の起伏で、「今は気が進まない」と拒否するケースも日常的です。

3. 環境・習慣の変化

在宅から施設へ移ると、環境の違いで混乱します。
食事の時間、量、味が違うと拒否につながります。
デイサービスでは、慣れない場所で「自分の居場所じゃない」と感じ、不安が増大します。
周囲の活動や人々の行動に敏感になり、誤解を生みます。

4. 身体的・心理的要因

作業療法士 宮崎

こんなことありませんか?

お父さん 「最近、お腹の調子が悪くて」

あなた  「なら、念のために、病院行こうか」

———-診察や検査後———-

医者   「特に異常はなさそうです」

あなた  「よかったね」

お父さん 「最近、体がだるい気がする」

※これを繰り返す

解説:
このような現象を不定愁訴(ふていしゅうそ)と言います。
身体的な異常はないのに、「どこか悪いはずだ」と病気を疑い
あちらこちらの病院にかかることがあります。

これは認知症によって生じた様々な違和感を
身体の別の異常と誤って認知してしまっているためです。

逆のパターンで、「これを飲んだら調子が悪い」と
特定のお薬を飲まなかったりすることもあります。

お腹の調子が悪いと食事を拒否したり、痛みで移動を嫌がったりします。
治療関連では、病院受診や薬を拒む事例が多く、専門医の診察すら拒否します。


具体的な事例と拒否のケース

事例1:入浴・着替え拒否(風呂・シャワー)

80歳のAさん(認知症の診断済み)。
ご家族が「お風呂に入ったら?」と声をかけると、「後から入る」と拒否。
その日は、見送ったものの、翌日も、その翌日も、お風呂に入らない。
原因は認知機能低下で、お風呂に毎日入るという認識が乏しくなっていました。

また、幼少期に海で溺れた経験から、元来水が苦手という特徴も影響していたようでした。

対応として無理に進めず、「温泉に行こうか?」と息子が一緒に温泉に連れて行ったり、
気が乗らない日にはタオルで体を拭いたり、徐々にデイサービスを利用したりと工夫しました。

事例2:食事拒否

74歳のBさんは、白ごはんを残していました。
そんな、Bさんを見て介護士がふりかけをかけたところ
「うわーーーー」と白ごはんを投げてしまいました。
原因は、レビー小体型認知症の幻覚の影響により、
ふりかけの具が虫に見えていたのでした。

事例3:デイサービス拒否

80歳のCさんは、元介護職員として勤務していました。
その経験から、デイサービスは病気の人が行く場所と、誤認しており拒否していました。
対応として「昔の経験を生かして、ボランティア」をするよう声かけするところから開始し、
少しずつ慣れてもらいながら、徐々に安心感を感じるようになり拒否がなくなりました。

事例4:トイレ介助の拒否

77歳のDさんはトイレ介助を「恥ずかしい」と拒否して、叩いたり、大声を出して抵抗しました。
よく観察をすると、男性職員の時にこれらの言動は見られていました。
そのため、Dさんの対応は女性スタッフが行うことで、拒否が軽減しました。

事例5:病院受診拒否

70歳のEさんは、同じ話の繰り返しが目立つようになりました。
家族は、認知症外来に行くよう声かけをしましたが、いつになっても受診に行きませんでした。
対応として、ご家族がかかりつけ医に相談し、専門医を紹介してもらうことになりました。


効果的な対応方法と工夫のポイント

1. 理由を理解し、共感する

拒否するには、その人なりの原因が必ずあります。
その原因を探り、対策を考えていく必要があります。
原因は人によって様々です。
認知機能の影響だけではなく、普段からの性格傾向(綺麗好き・無頓着など)も大きく影響します。

2. 声かけと工夫のテクニック

一つの手段として、「AとBどっちにする?」と選択肢を提示して、本人の意思で選んでもらうことも大切です。
例「シャワーとお風呂どっちがいい?」 「ご飯とパンならどっちがいい?」
調子が悪い時は無理せず中断し、後回しにします。

3. 環境調整と習慣化

デイサービスは見学から始め、複数の中から選ぶことも大切です。
数が多すぎると忘れてしまうので、大体3つくらいから選ぶと良さそうです。
デイサービスも様々あり、人が多いところ・人が少ないところ・お風呂が大きいところ・間取りが古民家風なところ・ホテルみたいなところ・病院と系列しているところなど。洋服を選ぶのと同じように、その人が好きそうな場所を選ぶことも大切です。

4. 介護サービスの活用

デイサービスでは活動で同年代の方と交流したり、運動を行うことができます。
特に高いニーズは、デイサービスでお風呂に入らせて欲しいというもの。
安定してデイサービスに通えると、ご家族の時間も作ることができ負担を軽減することができます。

5. 専門家の利用

もっと具体的に相談したい場合は、専門家に相談してみましょう。
当社でも、医療・施設・行政の勤務経験があるスタッフが認知症の相談を受けています。
オンラインでも可能ですので、遠方の相談でもご対応いたします。
土日、休日も対応できますので、お気軽にご連絡ください。


家族・介護者の心構えと予防策

介護は「終わりのない、マラソン」です。
拒否の原因には「認知症の症状」が関与しています。
つまり認知症のせいです。
すぐには難しいかもしれませんが、
「病気のせいだ」と捉え、割り切ることも大切です。

宮崎

嫌がる理由は、1,000人1,000色。
その人原因を見つけ、対策をうつことが大切です。
こればかりは、AIでも解決策が難しい。
うまく乗り越えるためにも、お気軽にご相談ください。

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